よくある質問


1.気象学研究室に入るためには、学芸大学のどの課程に入学すればよいですか?
2.教員志望でなくても、気象を学びたいという理由で、学芸大学に入学してもよいですか?
3.B類理科やA類理科に入れば、必ず地学教室に配属されますか?
4.地学教室に入れば、必ず気象学研究室に配属されますか?
5.気象学研究室に入るためにはどんな勉強をしておけばよいですか?

6.気象学研究室に入ると気象予報士の資格を取れますか?
7.研究テーマはどのように決めるのですか?
8.研究にはコンピュータを使いますか?
9.観測に行く機会はありますか?
10.データは自由に使えますか?

11.大学院には進学できますか?
12.教職大学院で気象学を学べますか?
13.教職大学院から博士課程に進学できますか?


1.気象学研究室に入るためには、学芸大学のどの課程に入学すればよいですか?

2015年度以降の入学者は、気象学研究室に配属されるためには、B類理科かA類理科に入学する必要があります。A類環境教育(*)など、他の課程からでは制度上配属することができませんので注意してください。

特に小学校教員を目指したいという人を除いては、B類理科をお勧めします。A類理科はあまりお勧めできません。なぜなら、A類では、音楽や図工、体育なども含めて小学校の全教科に関して授業を履修しなければならず、理科の特定の分野を専門的に学びたい人にとっては重い負担になるからです。B類理科なら、普通の理工学部に近い形で、自分の関心のある分野について専門的な勉強をすることができます。特に高校では、最近では理数科やSSHなどもあって、専門性の高い理科教員が求められています。また、中学校や高校の理科の先生になりたい人はもちろんのこと、今の段階では教員志望でなくても、資格として教員免許を持っていて損はないと思います。気象予報士の場合、人に伝えることも重要な役割ですから、その点でも教育学部で学んだことは活かされるでしょう。4年次の教育実習は中学校または高校で行ないますが、高校の場合は通常は母校で実施します(B類の場合)ので、最低限のルールを守っていれば、楽しくできると思います。なお、2015年度以降の入学者は、4年次の教育実習は必修ではなく選択になります。

入学試験の難易度のみに注目して安易な選択をすると、入学後に苦労するかもしれません。入学を希望する人は、今するべき努力を惜しまないでください。

(*)一部ネット上などで、A類環境教育で中学校や高校の理科の免許を取得できるという情報が見受けられます。これは、2014年度以前の旧F類環境教育と混同しているものと思われます。A類環境教育で中学校や高校の理科の免許を取得することは事実上不可能に近いと考えてください。理科の免許を取得できるのは、実際上はB類理科とA類理科だけです。

2.教員志望でなくても、気象を学びたいという理由で、学芸大学に入学してもよいですか?

さしつかえありません。そのような人も大歓迎です。職業選択の自由がありますから、教員になるかどうかは学生の自由です。ただし、本学の学校教育系の卒業要件として、教員免許を取得すること、より正確にいえば、教員免許取得に必要な授業の単位を取得することが義務づけられていることに留意してください。教員志望でない場合、あるいは迷っている場合には、B類理科をお勧めします。A類理科はお勧めできません。また、AB類理科以外の課程では、気象学研究室に配属することができません。教育学部は、「教育者」を育てる学部であり、必ずしも教員のみを養成するわけではありませんから、教員志望かどうかについてはあまり気にしないでください。

実際に、B類理科やA類理科には教員志望でない人もたくさんいます。

3.B類理科やA類理科に入れば、必ず地学教室に配属されますか?

まず大丈夫でしょう。物理学、化学、生物学、地学、理科教育学(A類理科のみ)の各教室への配属は、入学直後に希望調査を行なって決定されます。各教室には定員がありますから、必ずしも希望に添えるわけではありません。しかし、高校での地学の履修率が低いことから、地学教室を希望する学生は多くはないので、第1希望を地学教室にすれば、まず間違いなく地学教室に配属されると考えてよいでしょう。

4.地学教室に入れば、必ず気象学研究室に配属されますか?

たいていは大丈夫ですが、状況によります。地学教室内での各研究室への配属は、2年次の終わりに希望調査を行なって決めています。実際には3年次から各研究室に配属されます。希望調査では第1希望から第3希望まで配属を希望する研究室を書いてもらっています。各研究室には定員がありますから、必ずしも第1希望の研究室に入れるわけではありません。気象学研究室は、地学の中では比較的配属希望者が多く、年によっては若干名の人に第2、第3希望の研究室に移ってもらっています。希望多数の場合の選考基準は、大学1、2年次における物理学や数学に関する授業の履修状況です。単純にこれらの授業の単位数だけで決まるというわけではありませんが、できるだけ公平に決定するために、物理学や数学に関する授業科目の単位取得状況を重視しています。気象学研究室に配属を希望する人は、物理学や数学の授業を積極的に履修してください。物理学や数学の知識は研究室に入ってから大いに役立ちます。研究室の収容人員にはどうしても限界がありますが、できるだけ第1希望を尊重したいと考えています。

5.気象学研究室に入るためにはどんな勉強をしておけばよいですか?

(高校生向け)
まず、本学に入学しなければなりませんから、最低でも入学試験に合格できる学力が必要です。そのうえで、物理と数学はできたほうがよいです。

気象学は高校の理科の科目としては地学に対応しますが、高校での地学の履修は必須ではありません。地学を開講していない高校も多いですが、高校で地学を履修していなくても大学に入ってから勉強できますので、特に不便はありません。それよりも、高校では物理をできるだけ履修しておいてほしいと思います。気象学を学ぶ上で必要だからです。物理も大学に入ってから勉強する機会がありますが、高校で履修していた人のほうが有利です。可能であれば高校の理科は物理を選択するとよいでしょう。気象学では数学も必要です。高校では、大学入試に関係がなくても、数学III、数学Bまでしっかり学んでおいてほしいと思います。数学も大学に入ってから勉強する機会がありますが、物理と同様、高校でしっかり学習していた人のほうが有利です。しかし、いずれにしても、最も重要なことは、大学に入ってからの努力です。

(本学1、2年生向け)
気象を理解するためには、数学や物理学をよく勉強しておく必要があります。気象学は、数学や物理学を基礎として成り立っているからです。具体的には、数学に関しては、解析(微分積分)と幾何(線形代数)、物理学に関しては、力学、熱力学、電磁気学、流体力学をじゅうぶんに理解しておいてください。

6.気象学研究室に入ると気象予報士の資格を取れますか?

気象学研究室で学んだことは気象予報士試験で役に立つと思います。ただし合格するかどうかは皆さんの努力次第です。実際に合格した先輩もいます。大学での気象の勉強は、基礎となる数学、物理学から始まり、気象学の基礎を学びながら、研究にも取り組むという、幅の広いもので、単に資格の取得だけを目指すものではありません。しかし、気象学の講義や研究で学んだことは、実際の予報現場においても大いに役立つと思います。なお、当研究室では、気象予報士試験の実技試験の勉強会を自主ゼミという形で行なっています。ゼミには研究室に配属されていない1、2年生の人でも自由に参加できます。

7.研究テーマはどのように決めるのですか?

3年生のうちは研究室でさまざまな形で気象について学んでいきます。この中で自分がやりたいと思うことを見つけていくのがよいと思っています。ですから、研究室に入る段階で、研究テーマを確定しておく必要はありません。もちろん、これをやりたい!!というテーマを持っている人は大歓迎です。どうしても自分ではテーマを決めかねるという場合は、教員のほうから提案することもできますが、いずれにしても、3年生のうちには、おおよその方向性を決めてほしいと思います。

8.研究にはコンピュータを使いますか?

はい、使います。いまや気象の研究にはコンピュータはなくてはならない存在です。1、2年生のうちに情報処理を学ぶ機会があると思いますので、最低限コンピュータを使えるように勉強しておいてください。研究室では、研究テーマにもよりますが、UNIX系のOS上でFORTRANやCを使って自分でプログラミングをして、データ解析をしてもらっています。プログラミングについては、研究室に入ってから教えています。プログラミングができると、社会に出てからも役立ちますので、ぜひ、積極的に習得してほしいと思います。

9.観測に行く機会はありますか?

当研究室では、実験などの機会にキャンパス内での野外観測(気圧、風向、風速、気温、湿度)を行ったりしています。また、分光計や放射温度計などの機材もあります。これらの機材やデータを研究のために利用することができます。しかし、本格的な観測を行なうためには、相応の機材やノウハウ、労力が必要になるため、これ以外の観測を自分で行なうことは難しいかもしれません。しかし、他の大学や研究機関と共同で研究を進めるという形で、観測データを利用させてもらうことができる場合もあります。また、状況によっては、他の機関が実施する観測に参加できることもあります。在学中に観測船に乗って北極海に行く人もいますから、本人がその気になれば、不可能なことはあまりないのかもしれません。

10.データは自由に使えますか?

最近では多くのデータが無償で公開されており、教育、研究目的であれば自由に使えるようになってきています。また、当研究室では、研究のために各種データを購入しています。これらのデータは、研究室の中であれば、原則として自由に利用することができます。

11.大学院には進学できますか?

できます。学部4年間を修了した後、大学院の修士課程に進学すれば、気象学をさらに詳しく学ぶことができます。より自発的な態度で気象学の研究を深めていくことになるでしょう。

高校の先生になりたい人、気象予報士として働きたい人、その他、気象学や理科全般の専門知識を活かした職業に就きたいと思っている人には、特に進学をお勧めします。大学院に進学するかどうかは個人の自由ですが、気象学研究室では大学院への進学も視野に入れた勉強や研究に取り組んでいます。

残念ながら、本学大学院の教育学研究科(修士課程)理科教育専攻は、2018年度入学者を最後に廃止されました。しかし、他の大学の大学院に進学することも可能です。大学院に入るためには入学試験がありますが、詳しくは、研究室の教員に相談してください。

12.教職大学院で気象学を学べますか?

残念ながら、学べません。教職大学院は、主に現職教員を想定した、学校現場での実践、それに基づいた意見交換の場、(本来の意味に近い意味での)サロンであり、気象学を専門的に学ぶ場ではありません。そのような授業科目もありません。教職大学院での学びは実践に基づくものであり、学校現場での実習(地学だけ、気象だけ、という設定はできません)や、実習をさせていただく学校でのボランティアなど(学習支援など)が中心です。気象学そのものを学びたい方には、他の大学の大学院への進学をお勧めします。私見ですが、教職大学院のカリキュラムは、どちらかと言えば、ストレートマスター(学部卒業後、現場を経ないで入学した院生)向けではないと感じています。

当研究室は地学を専門とする研究室ですから、高校の地学で専門実習を行なう人を受け入れの対象としています。地学以外の科目で実習を行なう場合は、その科目に対応する研究室を選んでください。また、小中学校で専門実習を行なう場合は、地学に限定せず理科全般を扱いますので、理科教育学の研究室が適していると思います。

なお、教職大学院の場合、実習校は自己開拓が原則ではありますが、大学と協定を結んでいる都内の公立校で実習を行なう場合もあります。この場合、東京都の採用試験を受験しなければならず、他県や私立への就職はできないことになっています。自己開拓や他県の場合も同様の状況が想定されます。教職大学院に進学するにあたってはこのことをよく理解し、疑問があるときは事前に大学に相談してください。

13.教職大学院から学外の博士課程に進学できますか?

できません気象学関係で、専門職学位で受験可能な博士課程を私は把握していません。博士課程の入学試験では通常、修士論文についての発表や口頭試問を行ないますが、教職大学院では修士論文を書かないので、受験資格がないと思われます。教職大学院では、卒業生全員が教職に就くことを前提とした教育を行なっています。学校現場での実習は実習校の厚意によるものであり、実習生が教職志望でないことが発覚すると問題になることがあります。


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